薬剤師雑談

生活保護受給者のジェネリック義務化

今年の通常国会で成立した改正生活保護法に基づき、生活保護受給者のジェネリック使用義務化がこの10月から始まりました。

ジェネリック医薬品でも特に問題ない、と医師が医学的知見に基づいて判断した場合に、その使用を原則として義務化する内容です。

生活保護受給者に対するジェネリック義務化は、昔から声が多く上がる事案だったので、現場としてはいよいよか、という印象です。

これを平等ととらえるか、不平等ととらえるかは、立場や考え方で大きく異なると思います。

 

突き詰めれば生活保護制度そのもののあり方にも関わってくるため是非について論じるのは非常に難しいところです。

今回は、施行から数日経って感じたことなどを書いてみたいと思います。

今の就業先の生活保護者も先発希望者が圧倒的に多く、それを原則全てジェネリックに否応なく変えろというのが今回の法律。

対象者への説明も難しいし、衝突必至と構えていました。

しかし実際に説明してみると、意外とすんなりと受け入れられる方が多く、トラブルは今のところは少ない状況です。

 

そもそものジェネリックとは何か、知識の薄い方が多い印象でした。

大した理由なくとりあえず先発希望にしていた、とかも多いです。

 

一方で、やはり拒否反応を示される方もいました。

患者さん
ジェネリックは副作用が出るから嫌
患者さん
ジェネリックは心配だから嫌
患者さん
本当に医者が良いって言っているのか

これは容易に想像できた拒否反応です。

ジェネリックに対するこれらのイメージは、納税者にもよく見られます。

 

しかし今日は、しぶしぶ納得したように見えた患者さんから帰宅後に、

「自分が生活保護者だから、差別してそのような処方箋を書かれているのではないかと心配」

と長々と電話がかかってきました。

 

生活保護者であるという立場そのものを追いつめられていることに対する不安感。

前者のように、すんなり受け入れたように見えた患者さんも、そのような心の痛みは伴っていたのかも知れません。

ジェネリック使用すること自体よりも、それを強いられていることに拒否反応を示しているわけです。

 

どれほどの方が、国の医療費について把握しているのか。

ジェネリックそのものについての知識を正しく把握しているか。

受給者も納税者も客観的な視点を持っているかが、この制度の受け入れについては重要です。

 

しかし、いろんな意味で、個人的な感情が切り離せない案件ですし、客観的な視点なんて、

医療関係者でもない患者さんに持ってもらうのは難しい…

 

そもそも、今まで「努力義務」となっていたことが、いよいよ「義務」になったわけですから、削減できた部分は「努力」が及ばなかった部分でもあるわけです。

話してみれば、医療費削減に意欲的な生活保護者もまだまだいました。

国や医療機関の「努力」の余白もまだまだあったのかなーとも感じたこの数日。

 

それにしても施行後というのに、私が対応した患者さんは100%通知を受けていませんでした。

自治体や担当者の方からお知らせが遅れているのか

郵便物が滞っていて見てないだけなのか。

寝見に水、という患者さんにどのような「言葉づかい」で説明するかも頭を悩ますところです。

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